なぜリベラルアーツ研修は企業経営に「必須」なのか
「有限な地球」を前提にした経営
産業革命後、しばらくの間、私たちは「無限の成長」が可能だと信じていました。しかし、「地球の有限性」は昨今の気候変動を見るまでもなく明らかであり、これまでのような形で「無限の成長」を目指すことはできなくなりました。「地球の有限性」を前提にした企業経営の中身はどうあるべきなのか。企業が提供する商品やサービスはいかなる質的変化を要求されているのか。いずれにしても、「人間の欲望」や「人間の本性とはどのようなものか」など、人間そのものについての哲学的に掘り下げた分析が必要です。
生成AIとどう付き合ったらよいのか
ChatGPTをはじめとする生成AIが急速に人間社会に浸透してきました。いったい、コンピュータと人間の違いはどこにあるのでしょうか。人間はどこまでAIに依存すべきなのでしょうか。果たして、コンピュータが人間を凌駕する、いわゆる、シンギュラリティはやってくるのでしょうか?もっと根本的な問題は、「人間は技術といかに付き合っていくべきなのか」という問題です。技術の発展は人類文明の発展と表裏一体です。しかし、技術が人間の主体性を奪う事態は許容できるのでしょうか。極めて哲学的なテーマがここにあります。
人新世の時代・・「人類の絶滅」はどうすれば回避できるのか
グローバル市場で競争する会社にとって、「普遍」という概念は避けて通れません。自社が提供する商品やサービスが世界市場で受け入れられるということは、自国で「良い」と考えられている商品やサービスが外国においても同じように(普遍的に)受け入れられることを意味します。「普遍的価値」こそ、グローバル企業の競争力の源泉になります。しかし、自国で受け入れられているのに海外でさっぱり売れない場合はどうすればよいのでしょうか。あきらめるのか、それとも、「普遍的価値」の追求を加速すべきなのか。重大なテーマです。
「普遍的価値」とは何か
「有限な地球」を認識しているにもかかわらず、人類は「無限の欲望」を抑制できず、やがて人類は滅亡に向かうのか。もしくは、人類が「無限の欲望」を抑制するのに成功し、自然環境と共存共栄の関係を築くことに成功するのか。それとも、核融合の実用化など、CO2を激減させる技術開発によって人類に永遠の繁栄がもたらされるのか。近年の異常気象を考えるとあまり楽観は許さないというべきかもしれませんが、果たして人間はいつ、いかなる対応をとることになるのでしょうか。その時、企業はどういった役割を果たさなければならないのでしょうか。
「人間とは?」を見極める
結局のところ、人間の未来を決めるのは人間自身です。しかし、その人間は決して完全無欠ではなく、しばしば刹那的、衝動的に動くことが知られています。人間にとって、道徳や倫理はいかなる意味を持つのでしょうか。どのような条件が整えば、利己的な利益を追求するだけではなく、人類全体、あるいは、自然を含めた世界の利益のために行動するようになるのでしょうか。「人間とは何か」を知ることはリベラルアーツにとっても永遠のテーマです。
経営者としての判断力を磨く
経営者は、上記のような様々な「答えのない問い」に対して考え続け、必要なタイミングで的確な判断をしていかなければならない孤独な存在です。すなわち、経営者とは「答えが簡単に見つからない」という理由で考えるのをやめることができない存在です。「答えのない問題」を考え続け、悩み続け、少しでも良い考え方に到達することが求められています。これこそ、経営者に求められる最も重要な仕事です。現代社会が求めているのは、「スピーディに決断できる」経営者というより、「深く考え、悩み続けることのできる」経営者なのではないでしょうか。