2018年度「青天白雲塾」第6回講座(10月3日)
講師
遠藤 薫 氏 学習院大学法学部教授
馬奈木 俊介 氏 九州大学大学院教授
10月3日(水)は、学習院大学教授の遠藤薫先生による「人工知能(AI)やロボットは社会をどう変えるのか」と、九州大学大学院教授の馬奈木俊介先生による「経済の持続可能性について考える」の2部構成で講座を実施しました。
遠藤先生の講義では、AI・ロボットの歴史を古代ギリシア時代から振り返りながら西洋と日本の人工物観を対比し、今後の方向性として、違うものが合わさってより良いものを作り出していく「共進化」が提唱されました。AI・ロボットの活用が浸透していく世の中にあって、AIやロボットの中に新しい道を見出し、能動的にどのような世界にしたいのかを考えていくことが重要とのお話をいただきました。
続く馬奈木先生の講義では、持続可能な開発目標(SDGs)の採択を契機に、見えないもの(intangible assets)に価値が置かれ始めたこと、それを測ることができるようになったという時代の変化についてお話がありました。持続可能な経済の実現のためには価値が高いことから取り組むのが望ましいが、重要なのに価値が見えない場合、人は見えているところから着手してしまう。馬奈木先生が価値評価に取り組んでいらっしゃるのは、そうした非効率を無くして世の中の包括的な豊かさを実現したいという思いからだそうです。SDGsを利用し、技術や政策面での取り組み例をぜひ各社で作って欲しいと、メッセージをいただきました。
次回講座は、11月中旬の最終発表に向けての事前発表会となります。受講者の皆さんは今、「我が社が創造したい未来像」というテーマで、自社への提言を練っているところです。
(尾形雅子)
~受講生の声~
「AIやロボットとの共生が今後ますます大切になること、それらの捉え方は西洋と東洋で違い、その原因が歴史的背景にあることを学んだ。今後、グローバル拠点の情報を統合し活かしていこうとする当社のメンバーにとって、知っておかなければならない非常に重要なことであると思った。AIやロボットの進化のさせ方についても、「幸福な」「世界」に活かせるよう常に考えるようにする。」
[製造業] 「SDGsは我々にとって新しい価値となるのかという点で、非常に興味深いと感じました。一見、今までもあったような内容の見方を変えただけのようにも見えてしまうのですが、上手く再構成されているように思います。また資本主義において、常に新たな価値が必要であるとの意見が出ましたが、これにも非常に共感しました。今後は、見えない価値(潜在しているもの)をどのように評価(顕在化)し、新たな価値を創造するのかが重要になっているように感じました。」
[製造業]